Category: 知られざるブラックカルチャー
アメリカ人は、雨が降っても、傘をささずに歩く人が多い。
が、これは黒人女性には当てはまらない。
雨がちょっとでも降り出すと、黒人女性は折り畳み傘をさす。
ビニール製のヒモ付きレインキャップを、かぶる人も居る。
レインキャップの代わりに、なんとあのシャワーキャップをかぶるおばさんだって居る。
ポツリポツリくらいの雨なのに、大げさにビニールキャップをかぶっている彼らを見ると可笑しくて吹きそうになるが、笑ってはいけない。
彼らにとっては、雨は一大事なのだ!
彼女たちの髪の毛は本来強い天然パーマなので、水分や湿気を含むとクリクリになりすぎて収支がつかなくなるから。
それともう一つ、アメリカの黒人女性は、おそらく世界で一番、ヘアにお金をかけている人種なのである。
お金と時間をかけて綺麗にセットした髪を、雨なんかに濡らされてたまるか!!ということである。
シカゴの大学に在学中の時、大学寮での最初のルームメイトが黒人女性であった。
シャーロンは医学生で、日夜、平日祝日問わずの勉強家。
彼女の部屋の床には、解剖学の本の、リアルな内臓図のページが広げられたまんまだったり、ノートも散乱していた。
しかし、寝る間も惜しむ医学生のシャーロンが、絶対に惜しまないでしていたこと。
それは朝の、髪の毛セット。
毎朝少なくとも30分、髪の毛のセットだけでバスルームを独占するので、私はその前にさっさと用事を済ませなくてはならなかった。
バスルームには、我々の化粧道具などが混在していたが、彼女の棚にずらりと並んでいたのは、圧倒的にヘア商品。
縮れ毛をストレートにする「ヘアーリラクサー」と呼ばれるヘア剤を始め(これは定期的に、彼女は髪の毛の根元につけていた)、ヘアクリーム、トリートメント剤、スプレー。。。などなど。
そして朝は、ヘアアイロンで髪を真っすぐに伸ばし、綺麗にセットする。
アイロンを使っている彼女の頭から、スチームが出ていてビックリしたこともある。
超多忙な医学生でさえ朝の30分は惜しまないのであるから、他の黒人女性はもっと時間をかける。
私の黒人の女友達は、一人残らず、本当によくお金をヘアに使う。
しょっちゅう、「今週は美容院に行かなくちゃ」と言っている。
エクステンションやウィーブと呼ばれる付け毛で、「今夜はパーティ?」ってな髪型にする。
付け毛によっては自分でシャンプー出来ないから、美容院に行って綺麗にしてもらう女性も多い。
義理従姉妹のジャニスは「月に平均$400はヘアに使う」と言う。
しかもそれは、決して飛び抜けて大きな額では無いのらしい。
稼いでいる女性たちは、月に$1000使う人も居るとかで。
へたすると、半年くらいヘアカットに行くのを忘れてしまう私には、驚きを通り越して信じられない世界なのだ。
美容院に行って、高級なウィグやエクステンション。。。上を見ればキリが無い。
自宅で全てやる女性たちも、平均して年間にヘアケア製品だけで$1000、ウィーブなどにさらに$1000は使うとか。
低所得者層の黒人女性たちは、お互いに友人同士で髪のセットをしたりする。
彼らは安物の薬剤や染髪剤、エクステンション用の糊を使うので、髪はさらにボロボロに痛む。
夫のファミリーは、祝日ごとに親戚一同のファミリーディナーを開催するので、毎月のように彼らと会う。
そのたびに、女性たちの髪型がガラッと変っている。
先月肩より短いボブカットだったかと思うと、今月は腰まで長いストレートヘアだったり。
伸びたり短くなったりするマジックも、偽物ヘアのおかげ。
若い女性ばかりではない。
義母や伯母など、60代や70歳を超えた女性でさえも、髪型や髪の色が毎回違う。
「一般人」で毎月変わるのだ。
セレブになると、1日で何度も変わったりする。
今月初旬にあった、テニスのUSオープンを観ていた。
怪我のため出場出来なかった、セリーナ・ウィリアムズ。
姉のヴィーナスの試合を観客席から観ていたが、毎回髪型が違った。
肩までだった髪が、2日後にはロングに「伸びて」いた。
黒人女性の髪に触るのはタブーである。
これは、知らない人は覚えておいた方がいい。
うっかり「素敵なヘアスタイルねー」なんて触ると、「何すんの!!?」と怒鳴られるであろう。
綺麗にセットした髪は、時代劇女優のカツラみたいなものなので、触れるのは御法度。
恋人の男性だって、彼女の髪に触れられない。
うちの夫も言っていた。
「過去の黒人ガールフレンドの髪には、触らせてもらえなかった」と。
ベッドシーンではどうなのか。もちろん、「Hell, No!」らしい。
うっかり彼女のヘアを乱してしまったら、いきなり不機嫌になり後が大変だとか。
ハリウッド映画を観ていると、美人黒人女優が雨の中をずぶ濡れになったりするロマンスシーンが時々ある。
好きな男に会いに行くのに、雨に髪を濡らしても平気で居られる黒人女性は、現実には居ないと思う。
だって、黒人女性は、恋人と一緒にシャワーを浴びるなんて事もしないのだから。
映画にはウソが多い。
アメリカではパイ投げという、よく分からない遊びがある(映画の中ではよく見るが、実際に家の中でやっている人を見た事はない)。
これは白人の女の子になら投げても笑ってもらえるであろうが、黒人の女の子の髪の毛にクリームでも付けてしまったら、パーティはいきなりお葬式のようなムードに様変わりするであろう。
先日、野外音楽フェスティバルの会場で、黒人女性のウィグがポロリと取れて地面に落ちたのを目の前で目撃した。
彼女はノリノリで手を上げてはしゃいでいた。
ジャンプした弾みで、はずれたのだ。
スタイリッシュなデザインのカツラの下は、当然何もセットされていない寝起きのような状態である。
慌ててウィグを拾った彼女は、観衆の中でしゃがんだままウィグを頭に乗せて整えた。
その後は、今までのはしゃぎはウソのように下を向いて、大人しくなってしまった。
私は、アメリカ黒人女性が縛られている、「ストレートヘア信仰」を気の毒に思う。
完全にメディアに煽られて、踊らされている。
近年に限った事でない。ずっと昔から。
。。。。「縮れ毛は醜い。真っすぐな髪は美しい」。。。。
テレビやCMや雑誌で、人気黒人シンガーたちのさらさらストレートヘアに洗脳される。
口に出しては決して言わないが、心底には、白人女性の髪に対する憧れがあるのだと思う。
彼らは病的なまでのコンプレックスを、自分たちの髪に対して持つ。
母親が進んで娘たちに、毒とも言える強い液で、彼らの髪を真っすぐにしてやる。
どこが「ヘアー”リラクサー”」なんだ。このネーミングは人を欺いている。
ケミカルな製品のせいで、頭皮がケロイド状になっている人も居る。
(この薬品に缶を浸しておくと、融けてしまう実験を映画でやっていた)。
薬の使い過ぎ(少しでも長くつけておくと、もっと真っすぐになるから)で頭髪が薄くなってしまった人。。。。も見る事が多い。
最初の頃、「どうして黒人女性には、若いのに頭髪が薄い人が多いのだろう??」と疑問に思っていたのだ。
日本で「バーコードはげ」なんて冗談で言うが、女性でああいう感じで地肌が見えている人が多いのだ。
去年、「Good Hair」というドキュメンタリー映画があった。
プロデュースした、コメディアンのクリス・ロックの幼い娘が、ある日「パパ、どうして私の髪の毛はgood hairじゃないの?」と聞いて来た事が発端らしい。
そう、黒人女性たちは、真っすぐな髪の毛のことを「Good hair」と呼ぶのである。
「事の重大さ」に気づいて、黒人女性のヘアの実態についてユーモアを交えて追ったフィルムだ。
この映画を観た時、「やっと作ってくれたか!クリス!」と、彼を讃えた。
なんせ私は、ルームメイトのシャーロンと暮らした日々から、ずーっと黒人女性の髪については疑問を抱き続けたきたから。
本当に「美しい」ということは、コンプレックスから解放されて自信を持つ事だと思う。
クリス・ロックは、インタビュー相手の黒人女性たちに言う。
「君たち、ナチュラルなままで十分美しいのに」
このドキュメンタリーは、黒人女性にだけに向けられたメッセージには思えない。
日本人女性だって、これに似たようなコンプレックスだらけだ。
黒人女性の「髪」へのコンプレックスに匹敵するものは、日本人女性の「目」だと思う。
目を大きく見せるためのメイクアップ方法、プチ整形から二重の手術まで、中高生用の女性誌でも、それらの広告が載っている。
すっとした一重で可愛い女の子でも、目に対する異常な劣等感を持ち、本気で整形手術を考え、その事で頭がいっぱいになってしまう。
「自然のままの顔が、一番綺麗なのに」という言葉は、彼らには聞こえない。
これは「不自然に真っすぐに伸ばした髪は変だよ」と、黒人女性に言っても無駄なのと同じ。
マスコミや化粧品会社、雑誌や美容整形の広告に踊らされた彼女たちは、「くっきり二重まぶた信仰」の信者になってしまうのだ。
「Good Hair」はアメリカの黒人女性たちに一番観てもらいたい作品なのだが、彼らにとっては真実を突きつけられて不快な内容であるから、きっと観ないであろう。
私の周りでも、黒人男性は笑って観ているのに、「面白かった!」という黒人女性は一人も居ない。。。。
私は、黒人女性のナチュラルな縮れ毛を「醜い」と思った事は一度も無い。
彼らはフワフワの髪の毛のままでも、元々の頭が小さくて形がよいので、頭でっかちにならない。
黒人のようなヘアを、日本人の体型と頭の形&サイズでやっちゃうと、とんでもないことになってしまうのだが。
だけど、黒人女性の髪へのコンプレックスとストレートヘアへの執着心は、醜いと感じる。
無理に薬品とアイロンで伸ばした、分厚い焼き海苔みたいに風にもなびかない死んだ髪は、全然美しくない。
本来自分が持っている物へのネガティブな抵抗は、本物の自信になどにつながらない。
ウィグがはずれたがために、いきなり下を向いてしまう姿勢に表れる。
黒人男性が嫌うのは、ガールフレンドが黒人だと、彼女の美容院代を払わないといけないこと。
「アナタのために、私は綺麗になってあげるのよ」というのが言い分らしい。
美容院に一緒に行き、数時間座らされ、あげくの果てに数百ドル支払う。
黒人専用の美容院には、そんな男たちが座って待っている光景がよく見られる。
それも「文化」なのだ。
黒人男性は、自分の父や兄が母やガールフレンドにそうしているのを、見て育つのだ。
だから彼女をゲットするためには、仕方の無い出費なのである。
そして、黒人以外の女性と付き合ったりした黒人男性は気づく。
「え? 美容院代払わなくていいの?」
バッグを買ってくれだの言う女性は、どこの国でもどんな人種でも居るだろうが、特に「美容院代」にこだわる女性は居ないであろう。
黒人女性にとっては、「髪のお金を払ってくれる」ことは、「いい彼氏」としての資格なのである。
とても少ないが、「コンプレックス」から解放された、本来の縮れ毛のままの人も居る。
劣等感から解放された姿は美しい。
「つくづく劣等感を持っている自分が嫌になった」と、髪を切っちゃうハリウッドの黒人スターも、何年に一度かの割合では出て来る。
「縮れ毛のままだと、黒人女性は就職出来ない」なんて事は、今の時代には無い。
「就職出来ないから」なんて大義名分を言う女性も居るが、「コンプレックスから」と言うのが嫌なだけである。
アメリカの黒人女性の「Good Hair信仰」は、しばらく変わりそうにもない。
ホワイトハウスのミシェル・オバマ夫人あたりが、「ヘアーリラクサーは毒なのでやめました」「男性と同じように、女性だってナチュラルでいきます」って、娘たちと3人で縮れ毛スタイルで現れてくれないと、アメリカの黒人女性たちは目が覚めないと思う。
「髪へのコンプレックスからの解放」「子供をヘアケア商品の薬害から守る」導きも、教育問題の根本として、大切なんじゃないかなあ。
こういうことは、ストレートヘアを持つアジア人の私がいくら彼らに提言しても、効き目が無いのである。
また、白人女性が言ったって、誰も聞かない。
嫌みとしか取られないし、黒人女性社会にとっては代々伝えられた「信仰心」と「伝統」なので、改心させられる力は、他人種には無い。
ミシェル夫人がダメなら、オプラ・ウィンフリーかビヨンセに是非お願いしたい。
この3人のうちの誰かなら、確実に大多数のの黒人女性は付いて行く。
だが、黒人女性がナチュラルヘア思考になってしまったら、アメリカの経済に新たに不況をもたらしてしまうに違いない。
なんせ、年間売上数十億ドルの産業なのだ。
国ぐるみの「Good Hair煽り」は、永遠に続くのか。
が、これは黒人女性には当てはまらない。
雨がちょっとでも降り出すと、黒人女性は折り畳み傘をさす。
ビニール製のヒモ付きレインキャップを、かぶる人も居る。
レインキャップの代わりに、なんとあのシャワーキャップをかぶるおばさんだって居る。
ポツリポツリくらいの雨なのに、大げさにビニールキャップをかぶっている彼らを見ると可笑しくて吹きそうになるが、笑ってはいけない。
彼らにとっては、雨は一大事なのだ!
彼女たちの髪の毛は本来強い天然パーマなので、水分や湿気を含むとクリクリになりすぎて収支がつかなくなるから。
それともう一つ、アメリカの黒人女性は、おそらく世界で一番、ヘアにお金をかけている人種なのである。
お金と時間をかけて綺麗にセットした髪を、雨なんかに濡らされてたまるか!!ということである。
シカゴの大学に在学中の時、大学寮での最初のルームメイトが黒人女性であった。
シャーロンは医学生で、日夜、平日祝日問わずの勉強家。
彼女の部屋の床には、解剖学の本の、リアルな内臓図のページが広げられたまんまだったり、ノートも散乱していた。
しかし、寝る間も惜しむ医学生のシャーロンが、絶対に惜しまないでしていたこと。
それは朝の、髪の毛セット。
毎朝少なくとも30分、髪の毛のセットだけでバスルームを独占するので、私はその前にさっさと用事を済ませなくてはならなかった。
バスルームには、我々の化粧道具などが混在していたが、彼女の棚にずらりと並んでいたのは、圧倒的にヘア商品。
縮れ毛をストレートにする「ヘアーリラクサー」と呼ばれるヘア剤を始め(これは定期的に、彼女は髪の毛の根元につけていた)、ヘアクリーム、トリートメント剤、スプレー。。。などなど。
そして朝は、ヘアアイロンで髪を真っすぐに伸ばし、綺麗にセットする。
アイロンを使っている彼女の頭から、スチームが出ていてビックリしたこともある。
超多忙な医学生でさえ朝の30分は惜しまないのであるから、他の黒人女性はもっと時間をかける。
私の黒人の女友達は、一人残らず、本当によくお金をヘアに使う。
しょっちゅう、「今週は美容院に行かなくちゃ」と言っている。
エクステンションやウィーブと呼ばれる付け毛で、「今夜はパーティ?」ってな髪型にする。
付け毛によっては自分でシャンプー出来ないから、美容院に行って綺麗にしてもらう女性も多い。
義理従姉妹のジャニスは「月に平均$400はヘアに使う」と言う。
しかもそれは、決して飛び抜けて大きな額では無いのらしい。
稼いでいる女性たちは、月に$1000使う人も居るとかで。
へたすると、半年くらいヘアカットに行くのを忘れてしまう私には、驚きを通り越して信じられない世界なのだ。
美容院に行って、高級なウィグやエクステンション。。。上を見ればキリが無い。
自宅で全てやる女性たちも、平均して年間にヘアケア製品だけで$1000、ウィーブなどにさらに$1000は使うとか。
低所得者層の黒人女性たちは、お互いに友人同士で髪のセットをしたりする。
彼らは安物の薬剤や染髪剤、エクステンション用の糊を使うので、髪はさらにボロボロに痛む。
夫のファミリーは、祝日ごとに親戚一同のファミリーディナーを開催するので、毎月のように彼らと会う。
そのたびに、女性たちの髪型がガラッと変っている。
先月肩より短いボブカットだったかと思うと、今月は腰まで長いストレートヘアだったり。
伸びたり短くなったりするマジックも、偽物ヘアのおかげ。
若い女性ばかりではない。
義母や伯母など、60代や70歳を超えた女性でさえも、髪型や髪の色が毎回違う。
「一般人」で毎月変わるのだ。
セレブになると、1日で何度も変わったりする。
今月初旬にあった、テニスのUSオープンを観ていた。
怪我のため出場出来なかった、セリーナ・ウィリアムズ。
姉のヴィーナスの試合を観客席から観ていたが、毎回髪型が違った。
肩までだった髪が、2日後にはロングに「伸びて」いた。
黒人女性の髪に触るのはタブーである。
これは、知らない人は覚えておいた方がいい。
うっかり「素敵なヘアスタイルねー」なんて触ると、「何すんの!!?」と怒鳴られるであろう。
綺麗にセットした髪は、時代劇女優のカツラみたいなものなので、触れるのは御法度。
恋人の男性だって、彼女の髪に触れられない。
うちの夫も言っていた。
「過去の黒人ガールフレンドの髪には、触らせてもらえなかった」と。
ベッドシーンではどうなのか。もちろん、「Hell, No!」らしい。
うっかり彼女のヘアを乱してしまったら、いきなり不機嫌になり後が大変だとか。
ハリウッド映画を観ていると、美人黒人女優が雨の中をずぶ濡れになったりするロマンスシーンが時々ある。
好きな男に会いに行くのに、雨に髪を濡らしても平気で居られる黒人女性は、現実には居ないと思う。
だって、黒人女性は、恋人と一緒にシャワーを浴びるなんて事もしないのだから。
映画にはウソが多い。
アメリカではパイ投げという、よく分からない遊びがある(映画の中ではよく見るが、実際に家の中でやっている人を見た事はない)。
これは白人の女の子になら投げても笑ってもらえるであろうが、黒人の女の子の髪の毛にクリームでも付けてしまったら、パーティはいきなりお葬式のようなムードに様変わりするであろう。
先日、野外音楽フェスティバルの会場で、黒人女性のウィグがポロリと取れて地面に落ちたのを目の前で目撃した。
彼女はノリノリで手を上げてはしゃいでいた。
ジャンプした弾みで、はずれたのだ。
スタイリッシュなデザインのカツラの下は、当然何もセットされていない寝起きのような状態である。
慌ててウィグを拾った彼女は、観衆の中でしゃがんだままウィグを頭に乗せて整えた。
その後は、今までのはしゃぎはウソのように下を向いて、大人しくなってしまった。
私は、アメリカ黒人女性が縛られている、「ストレートヘア信仰」を気の毒に思う。
完全にメディアに煽られて、踊らされている。
近年に限った事でない。ずっと昔から。
。。。。「縮れ毛は醜い。真っすぐな髪は美しい」。。。。
テレビやCMや雑誌で、人気黒人シンガーたちのさらさらストレートヘアに洗脳される。
口に出しては決して言わないが、心底には、白人女性の髪に対する憧れがあるのだと思う。
彼らは病的なまでのコンプレックスを、自分たちの髪に対して持つ。
母親が進んで娘たちに、毒とも言える強い液で、彼らの髪を真っすぐにしてやる。
どこが「ヘアー”リラクサー”」なんだ。このネーミングは人を欺いている。
ケミカルな製品のせいで、頭皮がケロイド状になっている人も居る。
(この薬品に缶を浸しておくと、融けてしまう実験を映画でやっていた)。
薬の使い過ぎ(少しでも長くつけておくと、もっと真っすぐになるから)で頭髪が薄くなってしまった人。。。。も見る事が多い。
最初の頃、「どうして黒人女性には、若いのに頭髪が薄い人が多いのだろう??」と疑問に思っていたのだ。
日本で「バーコードはげ」なんて冗談で言うが、女性でああいう感じで地肌が見えている人が多いのだ。
去年、「Good Hair」というドキュメンタリー映画があった。
プロデュースした、コメディアンのクリス・ロックの幼い娘が、ある日「パパ、どうして私の髪の毛はgood hairじゃないの?」と聞いて来た事が発端らしい。
そう、黒人女性たちは、真っすぐな髪の毛のことを「Good hair」と呼ぶのである。
「事の重大さ」に気づいて、黒人女性のヘアの実態についてユーモアを交えて追ったフィルムだ。
この映画を観た時、「やっと作ってくれたか!クリス!」と、彼を讃えた。
なんせ私は、ルームメイトのシャーロンと暮らした日々から、ずーっと黒人女性の髪については疑問を抱き続けたきたから。
本当に「美しい」ということは、コンプレックスから解放されて自信を持つ事だと思う。
クリス・ロックは、インタビュー相手の黒人女性たちに言う。
「君たち、ナチュラルなままで十分美しいのに」
このドキュメンタリーは、黒人女性にだけに向けられたメッセージには思えない。
日本人女性だって、これに似たようなコンプレックスだらけだ。
黒人女性の「髪」へのコンプレックスに匹敵するものは、日本人女性の「目」だと思う。
目を大きく見せるためのメイクアップ方法、プチ整形から二重の手術まで、中高生用の女性誌でも、それらの広告が載っている。
すっとした一重で可愛い女の子でも、目に対する異常な劣等感を持ち、本気で整形手術を考え、その事で頭がいっぱいになってしまう。
「自然のままの顔が、一番綺麗なのに」という言葉は、彼らには聞こえない。
これは「不自然に真っすぐに伸ばした髪は変だよ」と、黒人女性に言っても無駄なのと同じ。
マスコミや化粧品会社、雑誌や美容整形の広告に踊らされた彼女たちは、「くっきり二重まぶた信仰」の信者になってしまうのだ。
「Good Hair」はアメリカの黒人女性たちに一番観てもらいたい作品なのだが、彼らにとっては真実を突きつけられて不快な内容であるから、きっと観ないであろう。
私の周りでも、黒人男性は笑って観ているのに、「面白かった!」という黒人女性は一人も居ない。。。。
私は、黒人女性のナチュラルな縮れ毛を「醜い」と思った事は一度も無い。
彼らはフワフワの髪の毛のままでも、元々の頭が小さくて形がよいので、頭でっかちにならない。
黒人のようなヘアを、日本人の体型と頭の形&サイズでやっちゃうと、とんでもないことになってしまうのだが。
だけど、黒人女性の髪へのコンプレックスとストレートヘアへの執着心は、醜いと感じる。
無理に薬品とアイロンで伸ばした、分厚い焼き海苔みたいに風にもなびかない死んだ髪は、全然美しくない。
本来自分が持っている物へのネガティブな抵抗は、本物の自信になどにつながらない。
ウィグがはずれたがために、いきなり下を向いてしまう姿勢に表れる。
黒人男性が嫌うのは、ガールフレンドが黒人だと、彼女の美容院代を払わないといけないこと。
「アナタのために、私は綺麗になってあげるのよ」というのが言い分らしい。
美容院に一緒に行き、数時間座らされ、あげくの果てに数百ドル支払う。
黒人専用の美容院には、そんな男たちが座って待っている光景がよく見られる。
それも「文化」なのだ。
黒人男性は、自分の父や兄が母やガールフレンドにそうしているのを、見て育つのだ。
だから彼女をゲットするためには、仕方の無い出費なのである。
そして、黒人以外の女性と付き合ったりした黒人男性は気づく。
「え? 美容院代払わなくていいの?」
バッグを買ってくれだの言う女性は、どこの国でもどんな人種でも居るだろうが、特に「美容院代」にこだわる女性は居ないであろう。
黒人女性にとっては、「髪のお金を払ってくれる」ことは、「いい彼氏」としての資格なのである。
とても少ないが、「コンプレックス」から解放された、本来の縮れ毛のままの人も居る。
劣等感から解放された姿は美しい。
「つくづく劣等感を持っている自分が嫌になった」と、髪を切っちゃうハリウッドの黒人スターも、何年に一度かの割合では出て来る。
「縮れ毛のままだと、黒人女性は就職出来ない」なんて事は、今の時代には無い。
「就職出来ないから」なんて大義名分を言う女性も居るが、「コンプレックスから」と言うのが嫌なだけである。
アメリカの黒人女性の「Good Hair信仰」は、しばらく変わりそうにもない。
ホワイトハウスのミシェル・オバマ夫人あたりが、「ヘアーリラクサーは毒なのでやめました」「男性と同じように、女性だってナチュラルでいきます」って、娘たちと3人で縮れ毛スタイルで現れてくれないと、アメリカの黒人女性たちは目が覚めないと思う。
「髪へのコンプレックスからの解放」「子供をヘアケア商品の薬害から守る」導きも、教育問題の根本として、大切なんじゃないかなあ。
こういうことは、ストレートヘアを持つアジア人の私がいくら彼らに提言しても、効き目が無いのである。
また、白人女性が言ったって、誰も聞かない。
嫌みとしか取られないし、黒人女性社会にとっては代々伝えられた「信仰心」と「伝統」なので、改心させられる力は、他人種には無い。
ミシェル夫人がダメなら、オプラ・ウィンフリーかビヨンセに是非お願いしたい。
この3人のうちの誰かなら、確実に大多数のの黒人女性は付いて行く。
だが、黒人女性がナチュラルヘア思考になってしまったら、アメリカの経済に新たに不況をもたらしてしまうに違いない。
なんせ、年間売上数十億ドルの産業なのだ。
国ぐるみの「Good Hair煽り」は、永遠に続くのか。